モンゴルにおける新型コロナウイルスに対する取り組み(8月18日時点)

モンゴルでは、1月末から始まった政府による迅速な水際対策が成果を上げ、8月18日現在、新型コロナウィルスの感染者数は累計298名(死亡者数0名)となっていますが、感染者は外国からの帰国者で、市中感染は確認されていません。しかし、長期にわたる規制によって、経済的・精神的な疲弊が国全体に積算しています。そうした状況の中、オイスカでは既報の通り、コロナ緊急支援の一環として、食料の安定的な確保を目的とした家庭菜園支援活動を展開しています。今回は、その続報をお届けします。

対象となったオルホン県バヤンウンドル村とブルガン県ダシンチレン村の計40世帯では、6月上旬に野菜の種苗などを受け取り、栽培研修を受けた後、各家庭で植え付けや、管理を続けてきました。初めて野菜栽培を行う家庭ばかりで、何かと質問や相談が寄せられましたが、そのような状況下で活躍したのが、SNSでした。

直接会って指導や交流ができない中、現地スタッフのアイデアで、情報交換の場としてフェイスブックでグループを作成。各家庭が日々畑の様子や、収穫した野菜の調理方法を投稿したり、困ったことや悩みがあれば、そのグループ上でスタッフや他の参加者に相談して解決につなげるなど、今までにはなかった方法でコミュニケーションを取りながら、活動を進めています。

学校が休校中の子どもたちも率先して参加
学校が休校中の子どもたちも率先して参加
植え付けた野菜の多くが既に収穫の時を迎えている
植え付けた野菜の多くが既に収穫の時を迎えている

厳しい冬に向けて、ピクルスや塩漬けなど保存加工
厳しい冬に向けて、ピクルスや塩漬けなど保存加工
さまざまな料理方法も共有されている
さまざまな料理方法も共有されている

現地スタッフのトゥメンは、

「新型コロナウイルスという今まで経験したことのない問題を前に、今までにはない方法で活動を行う必要がありました。コロナがきっかけとはなりましたが、このような新しい取り組みを行うことができたことを嬉しく思います。

 

何よりも嬉しかったのは、野菜に関する知識が少ないモンゴルの人々に、野菜栽培について教えることができたことです。私たち訪日研修生のOBOGは、日本での農業研修を通じて、野菜のおいしさや栄養について多くのことを学びました。モンゴルにはオイスカの研修センターがなく、地域の人々に農業について教える機会が少ない中、今回、限られた人々が対象ではありますが、野菜づくりの楽しさを伝えることができたことを嬉しく思います。

今後は、参加者からのリクエストで、四国センターで食品加工を学んだOBが、野菜を使ったお菓子づくりを教える予定です。

 

そして驚いたことに、参加者全員が非常に活動に関心が高く、皆とても積極的に取り組んでくれました。今回フェイスブックのグループページでは、毎日活発に参加者同士の情報交換が行われています。最初は朝から晩までスタッフに質問がきていたようですが、今は参加者同士でアイデアを出し合っている様子も見ることができます。また参加者自身が、近隣の住民に学んだことを伝えるという動きも出てきています。自分で野菜を育て、オンライン上であっても日々仲間と情報交換を行い協力しあうなかで、自信ややりがいを得ているように思います」と今回の取り組みについて語りました。

 

コロナ禍によって、普段とは違うアプローチで取り組みを進めることとなりましたが、その中でスタッフたちが学ぶことも多かったようです。9月には、参加者たちが取り組みの成果を報告するとともに、収穫した野菜や加工品を持ち寄る発表会を開く予定にしています。