バナナに似たこの植物、アバカといいます。フィリピン原産の多年草で、茎からとれる繊維は「マニラ麻」と呼ばれ、その強さ・軽さ・耐湿性から船舶用のロープや布地、製紙などの材料として珍重されてきました。古くは大航海時代、スペインの貿易船であるガレオン船のロープにも用いられ、また現在では日本の紙幣の原料にも使用されています。最盛期にはフィリピンでもっとも重要な輸出用商品作物の一つでしたが、化学繊維の普及によって需要が低下、産業も徐々に衰退していきました。
しかし今でもフィリピンの特産品としてシルクなどと混織した布地が生産されているほか、化粧品・建築資材としての製品開発も進んでいます。アバカ産業が盛んなミンダナオ島では、オイスカも村のアバカ生産指導を行っています。芽が出て2年ほどで収穫時期を迎えます。外皮を剥いで繊維を取り出し、天日に干します。できあがった繊維は馬の背に乗せ、町の仲買業者まで運びます。
アバカの他にもココナツやパイナップルなど自然素材が豊富なフィリピン。日本で手に入る製品もありますので、ぜひ探してみてください。